« だがしかし。 | メイン | 4.パロディ規定の創設 »

2012年06月22日

著作権の問題じゃなくて

単純なビジネスの問題として考えたい話は、他にもある。

動画投稿サイトが証明しちゃったことの一つは、商品としてのサイクルは一段落しちゃったコンテンツにも、それなりのというか、総再生ベースで行くと相当なニーズがあると言うことだ。

もうあそこを文化のアーカイブとして無視することは、どうも不可能なように思う。

だったら、積極的に活用すればよいのではないか。

たとえば。
商品のプロモーションが終わってしまうと死蔵されるPVやCM。
あるいは、CDショップに行くと一部の好事家のために全曲集なんかが売られてるが、明らかに売れてる気配の無い古い歌手の全曲集。
テレビで一度流れてしまえば、基本的には消えてなくなる生放送番組。

そうしたものもストリーミングで小さな単位で配信できれば、見る人間は少なからず存在する。
ということは、そこに収益モデルが作れる、ということである。

コンテンツホルダーが本当に守りたいのは、まだまとまった金になるコンテンツや、これから育てたいコンテンツであって、商品として一周も二周も回り終わっちゃってるコンテンツ(もう引退しちゃったり死んじゃったりした歌手のアルバムとか)は、逆に抱え込んでてもコストになるだけだし、仮にストリーミングできてもコレクターは買うだろう、と思う。

ならば、本当に守りたいコンテンツを守ることにコストを傾ける代わりに、資本回収が終わっちゃったコンテンツは報酬請求型モデルに回してしまう、というやり方はどうだろうか。
たとえば、動画投稿サイトにユーザーがアップロードしたものでも、画質や音質などの水準を満たさないものや、原作品のイメージや市場価値を損ねるもの以外は積極的にオーソライズして、むしろ再生回数に応じた使用料収入を受け取れるようにするとか。
なんだったらコンテンツホルダーがアップロード用のファイルもサーバーも用意しなくていいし。

それが産業界における当たり前の商品のライフサイクルの管理なのではないのだろうかと。
映画業界は近いことやってるんだけどね。

でまあ。
主にコストと収益のことしか言ってこなかったわけだが。
動画投稿サイトがアーカイブであるなら、コンテンツ産業も巨大なアーカイブなんだよね。

文化振興が著作権法の目的である以上、動画投稿サイトの役割は本当は権利者がやらなければいけなかったことなんじゃないか、と考えたりもするし、
コンテンツ産業が専属実演家契約だの音楽出版契約だので実演家や著作者を縛っている以上、コンテンツ価値の拡大は彼らの義務でもある。

以上は、あくまでも試案だし私案なんだけど。

自社がULしたファイル以外は全部違法とした上で、ものすごい勢いで増加する違法ファイルに何ら有効な対策が打てていないコンテンツ産業のあり方は自縄自縛なんじゃないの? と、思うのだ。

投稿者 ushila : 2012年06月22日 21:20

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.torihan.com/mt/mt-tb.cgi/1309